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漢字の旅 「陸遊の詞『釵頭鳳』の鑑賞」~高先生に学ぶ漢字は面白い~

講師 高 潤生
(書道篆刻家・現代印作作家)

漢字はいつどのようにして生まれたのでしょう。
今、残っている一番古い漢字は「甲骨文字」。
亀の甲羅や動物の骨に刻まれた漢字です。
これは占いの結果を記録するために使われました。

漢字は仮名やローマ字と違って一字一字が意味や由来をもっているのです。
私たちが日頃使っている漢字にどんな意味があるのか、違った角度から見直してみると漢字の面白さ、楽しさが見えてきます。

日時  2019年4月9日 (火)   13:30~15:00

今回、注目する漢字は、「手・酒・春」。

「紅酥手、黄藤酒・・・」、中国文学史におけるもっとも悲しい恋物語『釵頭鳳』の鑑賞を通して、古代社会の婚姻現象を考えてみましょう。

陸遊詞を理解するポイントとなる「手・酒・春」の金文・甲骨文字も併せて書いてみましょう。

陸遊 『釵頭鳳(さいとうほう)

南宋第一の詩人といわれる陸游と彼の最初の妻唐琬とのロマンスは中国では広く知られた物語。

陸游は20歳のとき母方の縁につらなる唐琬と結婚しました。
夫婦仲は睦まじかったのですが,なぜか唐琬が陸游の母親から嫌われ、1年ほどで離縁させられてしまいました。
内緒で家を借り隠れて逢っていましたが、それも母親の見つかるところとなり,以後会うことができなくなりました。
やがて唐琬は宋の帝室につながる趙士程に再嫁、陸游も王氏と再婚し、それから十年の歳月が流れた紹興25(1155)の春のある日、紹興の兎跡寺の隣の沈氏の園で二人は偶然再会します。
唐琬は一緒に来ていた夫の許しをえた上で酒肴を陸游のもとにとどけさせました。
そのおり悲嘆にくれた陸游が庭園の壁に書き付けたのが、「釵頭鳳」(さいとうほう、 かんざしの意)という曲にあわせて作った詞です。

紅 酥 手 黄 藤 酒 紅酥(こうそ)の手、黄藤(おうとう)の酒

唐婉は桃色のその柔らかい手で、黄色い封をした酒を注いでくれた

満 城 春 色 宮 牆 柳 満城の春色、宮牆(きゅうしょう)の柳

街一杯の春景色の中でも取ることにできぬ禁園の柳のようだ

東 風 悪 歓 情 薄 東風悪し(とんぷうにくし)、歓情 薄し(はかなし)

だから春風が憎い(離婚させた母が憎い)、せっかく巡り合っても喜びの気持ちは薄く

一 懐 愁 緒 一懐の愁緒

ひとたび憂いを抱いて二人の仲を裂かれてから

幾 年 離 索 幾年か離索(りさく)せん

もう何年間 離れて暮らしたことだろう

錯 錯 錯


春 如 旧 人 空 痩 春、旧の如く、人、空しく痩せ

それでも春は巡ってきたけれど、あなたはただ虚しく痩せ衰え

涙 痕 紅 浥 鮫 逍 透 涙痕(るいこん)紅く、浥鮫(ゆうこう)の逍(しょう)、透(す)く

私はハンカチに涙の痕が頬紅をつたい、赤く染めてしまった

桃 花 落 閑 池 閣 桃花落ち、閑(しず)かなり、池閣(こうかく)

桃の花も散って、静かな池の閣

山 盟 雖 在 山盟、在りと雖(いえど)も

かつて山のように大きい愛の契りはあったものの

綿 書 難 託 綿書(きんしょ)、託(よ)せ難し

想いをしたためた文をもらうこともできない

莫 莫 莫

作者 陸遊(りくゆう)南宋の政治家・詩人

号は放翁。通常は「陸遊翁」の名で呼ばれています。
越州山陰県(現在の浙江省紹興市)出身。

南宋の代表的詩人で、(はん)(せい)(だい)尤袤(ゆうぼう)(よう)万里(ばんり)とともに南宋四大家のひとり。
現存する詩は約9200首を数えます。

その詩風には、愛国的な詩と閑適の日々を詠じた詩の二つの側面があります。
強硬な対金主戦論者であり、それを直言するので官界では不遇でしたが、そのことが独特な詩風を生みました。


参加費   会員 800円  ビジター 1,300円

場所   五十鈴塾右王舎

定員   30名